第68話
頼む里沙!
最後はYESと言ってくれるに違いない!
もう里沙しかいない!と祈るように考えを固めていた2ヶ月後。
「私がその後どうにかなっても責任とれないと思うので、お互いの今後のためにやらない方がいいと思います。だからお断りします」
と言う内容を伝えてくれと里沙の兄貴が言ってきた。
結局、里沙は1度も顔を見せずに伝言という形で結論を出したのだ。
まさかそんな結末を想像もしていなかった昭太郎はその言葉の意味が飲み込めず、暫く放心状態だった。
絶対に合格すると死ぬほど受験勉強してきた学校の合格発表日。
絶対に受かると信じて見に行った合格掲示板に自分の番号がなかった時のような絶望感に似ていた。
まぁ、そんな程度の絶望感を感じながら。
「あいつはろくな死にかたしねぇ・・・」と呟いた。
そして、どうしようもなくなった昭太郎は「何で自分で言ってこねぇーんだ、アイツは!」とピンぼけした怒り方をし始めた。
【あの頃の僕はしょせん親戚なんてそんなモノだ。
よく言うじゃないか、親戚より他人の方が暖かい。
なんてそんな諺があるのかないのか確信もなかったが、そんなことを思っていた。
しかし、ドナーにならないと悪人だと思われてしまう環境は違うと思う。
生体間移植はそういう危険をはらんだ対処方であり、必ず美談で終わる訳ではない。
もし、里沙がYESと言った後に死んだら今度は自分が悪人になる。
死まで行かなくても里沙が少しの病気を患っても一生気を遣っていかねばならない難しい手術なのだ。
たとえ同意書があっても、思いやりですることには思いやりがつきまとう。
一生上手く終えた人間関係でないとその手術は成功したと言えない難しい手術なのだ。】
頼む里沙!
最後はYESと言ってくれるに違いない!
もう里沙しかいない!と祈るように考えを固めていた2ヶ月後。
「私がその後どうにかなっても責任とれないと思うので、お互いの今後のためにやらない方がいいと思います。だからお断りします」
と言う内容を伝えてくれと里沙の兄貴が言ってきた。
結局、里沙は1度も顔を見せずに伝言という形で結論を出したのだ。
まさかそんな結末を想像もしていなかった昭太郎はその言葉の意味が飲み込めず、暫く放心状態だった。
絶対に合格すると死ぬほど受験勉強してきた学校の合格発表日。
絶対に受かると信じて見に行った合格掲示板に自分の番号がなかった時のような絶望感に似ていた。
まぁ、そんな程度の絶望感を感じながら。
「あいつはろくな死にかたしねぇ・・・」と呟いた。
そして、どうしようもなくなった昭太郎は「何で自分で言ってこねぇーんだ、アイツは!」とピンぼけした怒り方をし始めた。
【あの頃の僕はしょせん親戚なんてそんなモノだ。
よく言うじゃないか、親戚より他人の方が暖かい。
なんてそんな諺があるのかないのか確信もなかったが、そんなことを思っていた。
しかし、ドナーにならないと悪人だと思われてしまう環境は違うと思う。
生体間移植はそういう危険をはらんだ対処方であり、必ず美談で終わる訳ではない。
もし、里沙がYESと言った後に死んだら今度は自分が悪人になる。
死まで行かなくても里沙が少しの病気を患っても一生気を遣っていかねばならない難しい手術なのだ。
たとえ同意書があっても、思いやりですることには思いやりがつきまとう。
一生上手く終えた人間関係でないとその手術は成功したと言えない難しい手術なのだ。】



