『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第65話

「・・・・・」

「でも、残念ながら昭太郎は孤独じゃねぇーから、死ねねぇーよ。死んだらみんな悲しむぞ」

「だな・・・」

「・・・だろ」

「『生きる』か『死ぬ』かの選択肢を迫られたときは『生きる』を選ばなきゃならねぇ・・・ってことか・・・」と昭太郎。

「だろうな・・・」
 笑顔で溜息を吐く昭太郎。軽く頷く勇介は1本差し出した。


 昔から勇介のネガティブな意見を注意していた昭太郎だったが、今日は勇介のネガティブな意見に安心させられていた。
 
「もうひとつ訊いていいかな?」

「なんだよ、気持ち悪い言い方だな」

「俺、会社辞めようと思うんだけど・・・」

「・・・いいんじゃないの、生きるか死ぬかの時に会社なんて小せぇ小せぇ」

「そうかな、こんな時に会社のこと考えてる俺は小せぇかな?」

「小せぇ小せぇど小せぇ、・・・・ケジメだろ?」

「お前、今日、デッかいなぁ、始めてお前のことデッかいと思ったよ」

「初めては余計だ」

「だって本当に初めてなんだよ・・・」

ネガティブ野郎も時には勇気を与える・・・。