『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第218話

 プロ野球の優勝マジックが点灯し始める頃、家に帰ると片目を腫した猫がいた。

白とグレーの野良猫が包帯に巻かれてソファーに寝ていた。

「この猫どうしたの?」

「血だらけでこの家の前に倒れていたのよ、飼ってもいい?」
もちろん昭太郎の病気を気遣ってのセリフ。

 15年以上も独りで親をやってきて、家に関することは自分で決めてきた母親。

昭太郎に家のことで許しを求めたことは初めてのことだった。

 母親の周りにはいつも動物がいた。

昭太郎が東京に出ていた10年の間にも家に帰ると色々な動物がいた。

捨てられた柴犬やどこかで餌付けしていたら住み着いてしまった白い犬。

妹が拾ってきた黒斑の猫。

その猫が連れてきた白い猫・・・そういえば、ブリスベンでも・・・猫がいた。

母親の周りにはいつも動物がいた。

 
医者にはペットは飼わないで下さいと厳しく言われていた。

免疫抑制剤を飲んでいるので動物の菌には気をつけてくださいと言われていた。

「・・・いいんじゃない」と答えた昭太郎。

「まぁ、いままでタバコもやってたし、今更だな・・・」と猫を撫でながら呟いた。