『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第213話

かち割り氷の入ったグラスにアイスコーヒーを注ぐ直太郎。

サンダルをひっかけた昭太郎がガラス扉を開けて開口一番
「物語のあるコーヒー売れたよ!」

「ほんと!」

「昨日出したネット広告が効いたみたいだな」ガッツポーズの昭太郎にガッツポーズで応える直太郎。

ネットショップは開店していた。

なかなか売れなかったギフト商品。

クラロとコラボレーションした〈物語のあるコーヒー〉が初めて売れた初夏の暑い日。

物語のあるコーヒーというのはコーヒー豆をガラスボトルに詰め込んだ企画商品で、そのボトルをクラロに持ち込むと、ボトルキープのようにコーヒーが煎れてもらえるサービス付きのネット商品だった。

注文が入ったその日、昭太郎は電話でなく満面の笑顔で扉を開けていた。

「直太郎!アイスコーヒー頼む!」と意気揚々に注文する昭太郎。

ネットビジネスについて語り出し、ウンチクをたれ始める・・・。

 クラロに流れる〈POWER TO THE PEOPLE〉♪

「これだ!これだよ、この感じ、これだ。間違いねぇ」とひとりで勝手に呟いた昭太郎は「やっぱ、俺、帰るわ、この叫びだ・・・」と残して出ていった。

「アイスコーヒーは!」叫ぶ直太郎。

 タイヤをならして走り出す昭太郎の4WD。



そして、その夜に〈PROJECT STARTING OVER〉の企画書は完成した。

昭太郎はおぼろげながら自分のように生きている人達が力強く歌うことで、社会に訴えかけるイメージが完成した。

 
 パソコン画面を見つめながらタバコに火をつけた。

ネットバンキングに振り込まれた2480円。

「仕入れて売る。経済活動の基本だな・・・」と呟いて、腕を組みながら、その数字を眺めてニヤついていた。

2480円でも昭太郎には自分で稼いだ久しぶりの収入だった。

社会経済活動に参加した小さな証だった・・・。