『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第212話

 タバコに火をつけて話しはじめる昭太郎。

メローなBGM。

「由紀のことは好きだよ。本音で、まだ好きだよ。でも、もういいんだ。ずっと由紀は俺の心の支えだったんだけど、なんか気付いたんだな、うーん、俺の過去を、俺の元気だった頃を知ってる女だから甘えてたんじゃねーかなって。好きだけど、あいつは俺が守りたかったヤツなんだよね。だから、ちょっと違っちゃったんだな、これからは一緒に苦労できる女を見つけたいと思ってる感じだ。だから由紀とは会ってないし、これからも会わない・・・」

「そうか・・・でも安心したよ」助手席にもたれ掛かる勇介。

「なんで」

「いや、昭太郎があんまり女の話をしないからさぁ、女はもうどうでもいいのかと思ったりしたからさ・・・」

「何言ってんだよ、、女は好きだよ、アホか」

「あんまりアホって言うなよ・・・」

「お前は仕事のことでアホって言われても反論しないけど、そういうことでアホって言われると反論するんだな」

「そうだっけ」

「まぁ、いろいろやってみるわ、できるだけ。移植医療の企画も書き上げたら敏哉に見せようと思ってる」

「広告代理店に持ち込みか!」

「敏哉に見せるだけだよ、今はここで、この甲府盆地で頑張って今を創るよ」目の前の景色を指さす昭太郎。

「なんだよ、俺はどうすりゃいいんだよ」

「いや、お前らは大事だよ。でも今は転勤先の地方支社で結果を出したいって感じだな、いつか本社に戻ってお前らとデカい仕事をしたいと思ってる。だから、お前もそれまでにちょっとはスキル上げとけよ」

「はぁーい」

「気合い入ってねぇなぁー」

「だってさぁ、ちょっとつまんない・・」

「病人に甘えるなよ・・・」

 山の中に停めたクルマのエンジンがかかる。

男2人と夜景。

ムーディーな曲がアホらしく聞こえる・・・。