『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第206話

「そうですよね、でも母親としては、・・・歩けたら、走れたらいいだろうって思うのよ」

「・・・・・すいません、今、自分が何かこだわってるから興奮しちゃって」

「いいのよ、この子のお陰で、わたし頑張れてるから、その通りだと思うわ」

「昭太郎さん・・・」と直太郎は見つめる・・・。

 少しおどけた表情の昭太郎。
「直太郎・・・、今までなんとなく言えなかったけど、俺も結構もがいてるんだわ」

「そうですか、だからドナーカード・・・」

「あぁ、あれ、メチャクチャ嬉しかったよ、あんがとな」


 昭太郎は思いだしたように店を出て、クルマから何かを探して持ってきた。
「このピカピカって動きがあるから喜ぶかな?」
電池で発光するクリスマスイルミネーションをその子の手の上に置いた。





 その頃から元プランナーは1つの企画書を書き始めていた。

〈PROJECT STARTING OVER〉(再出発計画)

 昭太郎は移植をして生きているという運命を考え続け、自分のため、人のため、移植同志のため、そしてドナーになってくれた人のために何かを始めたい。

そんな気持ちでこの企画を考え始めていた。

 昭太郎に考える時間は沢山あった。

生体間移植の問題、そしてこのような課題には思想、宗教などに倫理を問われる危険性やドナーカードを推進する難しさ、いろいろな側面を考えながら文章に落とし込んでいった。

危険性とかではなく自分が生きているのは現実であり、自分がやらねばと駆り立てていた。



 【あの頃の僕は自分に価値があると思いたかった。
今の自分に価値があるかどうかわからないけど、価値がある人間になりたかった。
そして、自分の人生をスキになりたかったのだ・・・。】