第201話
去年の冬に産まれた甥は立ち歩きを始めていた。
朝の吐き気から始まる4時間は変わらずに継続されていたが、カラータイマーの制限時間は当初の二倍近くになるほどに体力が付き始めていた。
もちろん激しく動くことはできないが、普通に外出できるようになっていた。
このころから歩き姿も〈ゆっくり歩いている人〉ぐらいに見られることが多くなっていた。
移植から1年半が経過していた・・・。
北風が吹きつける夕方、カフェクラロの扉を開けて手を擦りあわせる昭太郎。
「昭太郎さん!見て!」
マスターは人なつっこい笑顔で昭太郎に黄色いドナーカードをつき出した。
そのカードには保阪直太郎と署名されていた・・・。
いつものメロウが白いカップで運ばれてきた。
昭太郎はカウンターの左から3番目に決まって座る。
今日は始めてきた日のように、他に誰もいない。
「何でこのお店始めたの?」とコーヒーを啜りながら訊く昭太郎。
「どうしたんですか、突然?」
「いや、ちょっと、人が物事を始める時ってどんな時なのかなって気になったから」
水出しコーヒーの水滴がらせん状のガラス管を通って1滴落ちる。
「僕は人に楽しんでもらえることが好きだから始めたんですよ、サービス業が好きなんですよね」ガラスコップを拭きながら静かに答える直太郎。
去年の冬に産まれた甥は立ち歩きを始めていた。
朝の吐き気から始まる4時間は変わらずに継続されていたが、カラータイマーの制限時間は当初の二倍近くになるほどに体力が付き始めていた。
もちろん激しく動くことはできないが、普通に外出できるようになっていた。
このころから歩き姿も〈ゆっくり歩いている人〉ぐらいに見られることが多くなっていた。
移植から1年半が経過していた・・・。
北風が吹きつける夕方、カフェクラロの扉を開けて手を擦りあわせる昭太郎。
「昭太郎さん!見て!」
マスターは人なつっこい笑顔で昭太郎に黄色いドナーカードをつき出した。
そのカードには保阪直太郎と署名されていた・・・。
いつものメロウが白いカップで運ばれてきた。
昭太郎はカウンターの左から3番目に決まって座る。
今日は始めてきた日のように、他に誰もいない。
「何でこのお店始めたの?」とコーヒーを啜りながら訊く昭太郎。
「どうしたんですか、突然?」
「いや、ちょっと、人が物事を始める時ってどんな時なのかなって気になったから」
水出しコーヒーの水滴がらせん状のガラス管を通って1滴落ちる。
「僕は人に楽しんでもらえることが好きだから始めたんですよ、サービス業が好きなんですよね」ガラスコップを拭きながら静かに答える直太郎。



