第187話
湿った夜風に吹かれながらクルマを走らせる昭太郎。
ポツリポツリとフロントガラスに雨粒が落ち始めた。
国道沿いにある郷土料理屋のパーキングでサイドブレーキをひく。
のれんを潜り、賑やかで明るい空間に足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ!」二、三人の店員から元気な掛け声を浴びて、混み合っている店内を見回した。
「昭太郎さん!」先に見つけた佐野が呼んでいる。
今日は移植前に入院していた山王医大の入院仲間達との小さな同窓会だった。
髭で車イスだった男が杖もつかずに歩いて来る。
「おう、佐野さん、久しぶり!なんだよ~すっかり元気そうじゃん」
「小野里さんもいますよ」嬉しそうな佐野。
「そうかー、懐かしいな」少し脚を引きずりながら歩く昭太郎。
ついたてで仕切られた座敷。
真ん中にコンロが置かれたテーブルを挟み、3年ぶりの再会が果たされた。
「昭太郎、酒は飲むのか?」と訊く小野里は少し太ったように見えるが、変わらず強い目をしていた。
「いや、酒は術後から一滴も飲んでません」
「そうか、じゃあタバコは?」
「タバコは・・・やってます」
「そうか、元気でやってるのか」
「はい、ぼちぼちやってます。まだまだ元気って言える程じゃないですけど」
「何言ってるんだよ、俺たち、病院から出れてるだけでも出世だろ」
軽く微笑んだ昭太郎「そうっすね」
「佐野さんはすっかり元気みたいだね、普通に歩いてるところ初めて見たよ」
「はい、結構リハビリ大変だったんすけどね」
「今は仕事してるの?」
「はい、前の会社に戻りました」
「よかったじゃん」
「そうでもないですよ、入院してたときは早く仕事がしてーなんて思ったりして焦ってましたけど、今なんかOLがサボってるの見たりすると、仕事しろよ~なんてイライラしたりしてますもん。その後、なんで俺こんな小さいことでイライラしてんだろとか思ったりして・・・まぁ、生死を彷徨って悩んでいたあの頃とは悩みの次元が違いますよ」勢いがついて話しまくる佐野は早口で話していた。
湿った夜風に吹かれながらクルマを走らせる昭太郎。
ポツリポツリとフロントガラスに雨粒が落ち始めた。
国道沿いにある郷土料理屋のパーキングでサイドブレーキをひく。
のれんを潜り、賑やかで明るい空間に足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ!」二、三人の店員から元気な掛け声を浴びて、混み合っている店内を見回した。
「昭太郎さん!」先に見つけた佐野が呼んでいる。
今日は移植前に入院していた山王医大の入院仲間達との小さな同窓会だった。
髭で車イスだった男が杖もつかずに歩いて来る。
「おう、佐野さん、久しぶり!なんだよ~すっかり元気そうじゃん」
「小野里さんもいますよ」嬉しそうな佐野。
「そうかー、懐かしいな」少し脚を引きずりながら歩く昭太郎。
ついたてで仕切られた座敷。
真ん中にコンロが置かれたテーブルを挟み、3年ぶりの再会が果たされた。
「昭太郎、酒は飲むのか?」と訊く小野里は少し太ったように見えるが、変わらず強い目をしていた。
「いや、酒は術後から一滴も飲んでません」
「そうか、じゃあタバコは?」
「タバコは・・・やってます」
「そうか、元気でやってるのか」
「はい、ぼちぼちやってます。まだまだ元気って言える程じゃないですけど」
「何言ってるんだよ、俺たち、病院から出れてるだけでも出世だろ」
軽く微笑んだ昭太郎「そうっすね」
「佐野さんはすっかり元気みたいだね、普通に歩いてるところ初めて見たよ」
「はい、結構リハビリ大変だったんすけどね」
「今は仕事してるの?」
「はい、前の会社に戻りました」
「よかったじゃん」
「そうでもないですよ、入院してたときは早く仕事がしてーなんて思ったりして焦ってましたけど、今なんかOLがサボってるの見たりすると、仕事しろよ~なんてイライラしたりしてますもん。その後、なんで俺こんな小さいことでイライラしてんだろとか思ったりして・・・まぁ、生死を彷徨って悩んでいたあの頃とは悩みの次元が違いますよ」勢いがついて話しまくる佐野は早口で話していた。



