『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第177話

 この年の春先は夏のようにな暑さを記録し、オアシスの温度を上げていた。

病院の片隅にとりあえず造られたという感じのプレハブ。

もちろん冷房なんかは設置されていない。

換気扇と窓から流れる風だけがたよりなオアシス?
蝉の声が聞こえてきそうな気がする・・・。


 アイスを食いながら現れた三島とアイスコーヒーを飲む昭太郎。

お互いダレた感じでソファーに並んで座った。

「三島君はデビューするの?」

「その予定なんですけど、結構病気が長引いちゃって、バンドのメンバーにも迷惑かけちゃってるんです」

「何の病気なの?」

「肺気腫・・」

「それって、歌うの大変そうだよね」

「そう、歌手には致命的ですよ・・・。医者には歌うと死ぬって言われてます」

「でも、歌うの」

「歌いますよ、歌うの好きですから」ゆるい感じで話し続ける三島。

「シンプルだね」

「そう、人生、好きか嫌いかしかないですから」

「勝ちとか負けとかは無いの?」

「無いですよ、生きてたら負けないですから」

「よくわからんなぁ」

「そうですか、昭太郎さんは理論的に考えすぎてるんじゃないですか」

「そうかなぁ」

「俺・・・ガキの頃から病気持ちで、ずっと病気してるんです。病人って考える時間が多いから、俺も昔は理論的にいろんなこと考えてたんですよ・・・でもやっぱ直感が大事っていうか、人生生きるか死ぬかですよ。それしかないですから」

「ますますよくわからん・・・」

「そのうちわかりますよ」

「そのうちって、俺お前より年上なんだけど」

「あっ、そうでしたね、すいません」

「いや、いいけど、そっちの方が理論的にあってる気がする」

「また」

「ははは」