『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第174話

 その迫力に今まで豪快に見えたおばちゃんは驚いた表情で動きが止まった。

(おいおい、何で怒鳴ってんだよ、みんな更に静まり返っちゃったじゃんか・・・でも、みんな暇なのかこの行方に興味津々な感じが漂ってる・・・)昭太郎は目線を合わせずに聞き耳を立てていた。

「あんたも俺もここじゃないと治せない病気だから、ここに居るんじゃないのか、尋常じゃない病気だからこんな大学病院で入院してるんじゃないのか」

(何か今度は優しい口調になったそ・・・)

「ここを出たらあんたを助けてくれる病院は無いぞ」

(うわぁー・・おばちゃんが泣き出しちゃったよ・・・)

「いろんな病院まわって、やっとここに来れたんじゃないか、それをそんな若い女のせいで無茶苦茶にされていいのか」

(何か、説教うまいなぁ・・・このおっちゃん)

「そんな女はあんたが追い出せばいいじゃないか、あんたが出て行くことはないんだよ」

(うわぁー・・おばちゃん号泣だよ・・・)

「うっ、ううっ・・ありがとうね、君塚さん・・・」嗚咽しながら答えるおばちゃん。

(うわぁー、なんか話しまとまっちゃったよ・・・なんだこりゃ、ドッキリかよ・・・)

「この1本吸ったら、部屋に帰るわ、そうよね、そんな女に負けてるわけにいかないわね」

(立ち直っちゃったよ・・・おい)

「そうだ、俺たちはここでしか治療できないんだ。静岡じゃここが一番だからな、東京なんか行ったって家族が困るだろ、そうしなさい」

 君塚?さんにお礼をしながら喫煙室を後にするおばちゃん。

扉が閉まり、みんなが盛り上がる。

昭太郎も心の中で拍手していた。

(なんなんだ、このおっちゃんは?それにしても喫煙室での影響力がありすぎる・・・みんなこのおっちゃんに話しかけている。喫煙室が行列のできる君塚人生相談所みたいになっている・・・・・)


 タバコを灰皿にもみ消しながら、昭太郎マーケティングは動き始めていた。

(今回の入院は面白くなりそうだ・・・)