『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第172話

 大雪が降った冬。

久しぶりに迎える日本の冬。

 2階のベランダから家の前を雪かきしている母親を見ていた・・・。

 社会復帰が前提の移植医療・・・の意味がわかり始めた冬。

 このまま生きているだけでは移植は重すぎる・・・。

 人の力で生きていることが重い。

 雪降るベランダが寒くなかった・・・。


家にこもり続けた冬から季節が変わり始めた。

春の穏やかな気候とは裏腹に昭太郎はどう成長するかという課題で葛藤は繰り返されていた。

セーターを脱ぎ始めた最近。

免疫抑制剤の調整で静岡の国立病院に入院日が決まった。

この入院は1年前から決まっていた。

移植から1年が過ぎたのだ。


診察室で助教授が血圧を測定しながら質問をする。

「1年経ってどうですか?」

「はい、毎日の吐き気は変わらないんですけど、少し体力がついてきたような気がします」

「そうですか、それはいい兆候ですね」
 聴診器を胸に当てる助教授。

「はい、1年前に比べるといい感じがします」

「この入院期間で免疫抑制剤を少し減らしますので、抵抗力も少しは上がってくると思います。ハイ、後ろ向いて」
 背中に聴診器を当てる助教授。

「はい」