『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第171話

いつもの総合病院。

今度はいつもの昭太郎の入院。

神経のイタズラで吐き気が止まらなく、2日間食事をとることができなかったことから、自ら入院を決めていた。

「大丈夫だよ!いつものことだから、病院はベテランなんだよ」
昭太郎はおどけて仕事帰りに寄ってくれた母親を追い返す。


薄暗い病室のスタンド、白くぼやけた天井。

(そう、入院なんてお手のモノ、嘆くことはない。別荘のようなモノだし、何てことない。ビギナーみたいなことが言えるか!俺はベテランなんだよ・・・)

 そんな風に自分に言い聞かせたのが間違いだった・・・。

 あまりにも見慣れた夜中の病室は必要以上に問いかける。

 もう終わったはずの疑問、葛藤・・・そして立派な人間になりたいという希望。

 頑張るということ、頑張らなくていいということ・・・そして、迷惑をかけているという現状。

 昭太郎には病院に想い出が多すぎる・・・。

 ここはスタート地点なのか?今はフリダシに戻ったのか?・・・そして、何度繰り返せばいいのだろう・・・・何度フリダシに戻ればいいのだろう・・・。

 いつもの景色が、いつもの薄暗いスタンドが昭太郎をクサらせる。

「悔しいなぁ・・・俺、なにも変わってない・・・」

 ・・・・・

「俺はこんな生活をするために生かされたんじゃない・・・」

開いた掌の成功線に爪をたてて引っ掻く。

何度も繰り返し跡をつけた・・・。



 【あの時の僕は成長したいと強く思っていた。
・・・ベテランなんかにはなりたくない、病院なんて仕方なくいるところだ。
もう入院はしたくない・・・。
フリダシでないことを証明するために何かを始めよう。
元のように仲間と遊びたいし、元のように仕事もしたい。
そして、立派な人間になりたい。
もう、この天井は見たくない・・・。】