『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第132話

 ただ毎日こなすということは結構難しい。

前にもこんな気持ちになったことを思い出しながらもどうにもできない・・・。

食欲がないのにご飯を食べる。

眠くないのに時間通りに寝る。

転びそうになる足を抱えながらケガをしない。

これが結構難しい。

メシがうまいと思ったのは何時のことだったか忘れてしまった。

前向きな気持ちがいい結果を生むということはわかっているのだが、前向きな気持ちで結果が逃げていったトラウマから積極的に前向きになれずにいた。

これが堂々巡りであることもわかっていた。

 
 手術が見送りになったことは友人達に知れ渡ったのだろう。

励ましにくい状況にメールの数も少なくなった。



 【あの頃の僕は人が何かをしてくれることに甘えていた。
何かしてくれないと勝手に悲しんでいる僕がいた。
忘れられたと勝手に悲しがっている僕がいた・・・。】



我儘なもので、たまに受信する《がんばれよ!メール》も辛かった。

毎日繰り返される苦しい吐き気に頑張れなくなっていた自分を確認するたび、精神力の無さを痛感して更に辛くなっていった。

 人にどうしてもらいたいのかわからなくなった昭太郎は自分の殻に閉じこもり始め、この頃からよく泣くようになっていた。

よく少女が「わけがわからないけど涙が出る」なんて言う意味がわかるかのように涙を流していた。

しかし、ただ悲しくて泣いているということだけでなく、涙を流すと少し気持ちが晴れることがわかっている確信犯でもあった。

そしてその確信犯は、泣くことで体の調子も少し良くなると気付いていた。

昭太郎はどうにもできないストレスを涙で流すことしかできなくなっていたのだろう・・・。

 そんな感傷的な状態のまま誕生日を迎えた昭太郎はオーストラリアで29歳になった。