『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第130話

 3人を見送り、エレベーターの前に残った昭太郎と光隆。

「光隆、あれ、持ってんだろ」

「あれって?」

「あれだよ、あれ・・・ヤニだよ」

「あぁ、持ってるけど・・・吸うのか?タバコ辞めてたんじゃないのか?」

「別に辞めてたとか、そういうんじゃなくて、病気もヤバくなってきたし、酒は飲めないし、タバコもなんとなく吸ってなかっただけだ。誰も辞めるなんて言ってない」

「なんだそれ、本気かよ」

「たかがタバコ1本で本気かよはねぇーだろ、持ってんだろ」

「もってるけど」

「病人は生意気ぐらいが丁度いいんだよ!可哀想だけじゃ行き場がないしな」

「・・・・・」

「おう、こんな日ぐらい付き合えよ」

「しょうがねぇーな」

「しょうがねぇーヤツだよ、俺は・・・」

 
 中庭に出た2人は目を合わせ、口元を少しあげた。

 昭太郎は慣れた手つきでタバコをくわえ、軽く左手をかざして火をつけた。

「なんか高校生みたいだ、隠れてる感じが」

「何言ってんだよ」とタバコをふかす光隆。

「やっぱタバコは辞められねぇ・・・」

「アホか」

「アホじゃなきゃ病人やってられねぇーよ・・・気が狂っちまう・・・」

 吸い込むタバコの先が赤く色づくのを見つめていた・・・。

「光隆・・・」

「ん?」

「あいつは元気か・・・」

「あぁ、元気だよ」

「ならいい・・・」

「・・・・・」



 【あの時の僕は一瞬にして抜け殻のようになった。
幸せは突然去っていく・・・。
これからの日々を考えることはできなかった。
ただ、病人は少し生意気なぐらいの方が周りも楽そうだと感じていた。】