『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第117話

 昭太郎の足を気遣いながら歩幅を合わせるチサ。

体調も気にしながら遊びにも行った。

学生のチサは色々な遊び場を知っていた。

奥まったところにあるジャングルのようなカフェや、マウントクーサという展望台。

その展望台広場に行ったとき、最終バスに乗り遅れて焦っていた姿はやはり17歳だった。

「こんな山の頂上でバスなかったら、どないすんねん」
 真面目に焦るチサをからかうように
「野宿かな・・・」と言う昭太郎。

「これから暗くなるで、どないしよう」

「しゃーない、いつも助けてもらってるから、こういう時は俺が助けてやるよ」
 そうカッコつけて言った昭太郎は観光バスのドアを叩き、バスガイドにCITYまで連れてってくれと頼んだ。

だが、しかし、やっぱり思ったようには通じていないのが良くわかる。

少し情けない表情で昭太郎はチサに手招きをした。
「この人達に乗せてってもらえるように頼めば帰れるだろ、得意の英語で、「CITYまででいいので乗せてってください。どうぞ宜しくお願いします。助けてください、一生恩に着ます」って言ってみろ」

「なんでや」

「言えよ」

「いやや」

「いいから言えよ、帰れねぇーぞ」

「わかったわ、言うわ・・・でも、一生恩に着ますはいわんでいいやろ・・・」

「言え、言わなきゃダメだ」笑いをこらえきれなくなった昭太郎は背を向けた。


 何とか補助席に乗せてもらえた昭太郎とチサはよく知らない観光ホテルの前で下ろされた。

なぁーんてこともあった・・・。

 とにかくシティーホールでは色々なことがあった。

何もしないで話し合う日もあれば、チサの友達と和になって遊んだこともあった。

病気のことも素直に話せたし、居心地もよかった。

昭太郎はここに来て初めて居場所を感じていた。



 【あの頃の僕はやっと居場所を見つけた。
居場所がなければダメだということは山王医大で分かっていたことなのだが、いざ海外ということに戸惑って居場所探しをすることをしていなかった。
楽しく生きるには居場所が必要なんだということを改めて感じていたし、そこで生きていくリズムが掴めたのだ、リズムがないと一日が長いのだ。】