『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第116話

クリニックで診察された結果は良好だった。

数値が安定しているということで心が軽かった昭太郎に倉本が告げた。
「3日前に移植があったのよ」

「はい、噂で聞きました、江口君ですよね、8歳の」

「早いわね、そう、江口君」

「そりゃ、そんな噂1日で流れますよ」

 深く頷いた倉本は優しい顔で話しはじめた。
「江口君頑張ったのよ、手術台に行くとき相当怖かったと思うんだけど、「僕はひとりで行けるからお母さんはここで待っていてね」ってキッパリ言ってスタスタ手術室に向かっていったのよ、あの子、小さいときから病気でママとずっと一緒だったから甘えん坊だったのよ、だからそれを聞いたお母さんも驚いていたわ」

「格好いいじゃないですか、江口君」

「そうね、その時、なんか涙出てきちゃったわよ」

「江口君も男だね~、勇気見せたんだ」

「そうね、術後は甘えん坊も卒業ね」

「なんか、少年が男になる瞬間って感じていいっすね、『ボーイ トゥ マン』って感じですね」

「そうね、見せたかったわ」

「いやー俺も見たかったっすよ、あの江口君がね、いつもママの後ろに隠れてた江口君がね~」

 なんか勇気の出てくるエピソードだった。

昭太郎は初めてひとりで電車に乗った日のことを思い出していた・・・。