『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第114話

「うち、もう帰らなあかん、昭太郎は?」

「俺も帰るよ、かーちゃん心配してると思うし」

「そうかー、じゃ、帰ろうか」

「おう、俺はバスだけど、チサは?」

「うちもバス、320番やねん」

「俺は241番、じゃあバスターミナルまでいこか」

「いこかって、関西弁やん」

「ああ、つられたよ」

「まぁ、ええわ、いこか!」
 ニカッと笑うチサ。

少しの間があくとニカッと笑うのはチサの癖のようだ。


 地下のバスターミナル。賑わう人混みのなかディーゼルのエンジン音とエアーブレーキの音が入り乱れる。

「シティーホールの前の芝生知ってる?」

「おお、今日行ってきた、時計台のあるところだろ」

「そうや、うち学校終わったらよく行くねん、昭太郎も元気な時は来てな」

「おお、わかった、また行くよ、じゃ」

 お互い電話番号は交換しなかった。

また会えるような楽しみを残して雑踏のなか手を振り別れた。

 走り出すバスから見える景色は暗かった。

道路脇に並ぶ電灯がオレンジに連なっていた・・・。