『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第110話

「そんで、2ヶ月後に勇介と綾乃とそっちに行くからホテルとっといてくれ」

「そうか、来るか!」と喜んだ昭太郎は「なんだよ、病人を使うなよ」と嬉しそうに言った。

「何言ってんだよ、英語ができねぇーんだからやってくれよ、もう英語はなせるようになったか?」

「簡単に言うなよ、でもまぁ、英語は嫌でも毎日話してっからっよ、痛かったり怠かったり説明してるから少しは話せるようになってきた気はする」

「じゃあ、その少しで頼むわ」

「わかったよ、訊いてみる。でも、2ヶ月も先だったら移植終わってるかもしんねぇーぞ」

「そうだな、まぁ、終わってたらパーティーでもしようぜ!」

「だな」

「おう、俺たちが行くまで元気で頑張れ!」

「うん」

「じゃあ」

「・・・あと、来るときにお願いがある」

「何だ?」

「レンタカー借りてきてくれ、行きたいところがあるんだ。それとカンコーヒー買ってきてくれよ、こっちにはカンコーヒー売ってないんだよね」

「なんだよそれ、お願いとか言うからもっとシビアなことかと思ったじゃねぇーか、ビビらせんなよ。わかった、レンタカーとカンコーヒーはボスか?ジョージアか?」

 懐かしいような懐かしくないような、いつもの仲間からの電話だった。

人間なんて単純なモノだ、目の前に目的があると頑張れる気がする。

いつ来るかわからない手術を待つのは難しいけれど、2ヶ月後までは元気でいようと思うことは結構楽しいことだった。



 【あの頃の僕には目の前の目的が必要だった。
いつになるかわからない目的を楽しめるほどの余裕はなかった。
目の前に目的があると生きていくのが楽しくなる。
そんな単純なことに気付かされた夜だった。】