『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第105話

 入院を繰り返す度に体力が落ちていく気がする。

「そんなことはない、気のせいだ」と気合いを入れて元気を取り戻す。

しかし、この病院とアパートの間にある横断歩道が審判を下した。

 今まで渡り切れていたはずの横断歩道。

随分前から青の途中で渡ることはなくなっていた。

青になった瞬間から渡り始める。

そうでないと渡りきれない脚になっていた。


 今日もいつも通り青になってから渡り始めた横断歩道。

車線4つ分の横断歩道。

3分の2を歩いた所で点滅が始まり、5分の4で赤になった。

5分の1・・・・届かなくなっていた。

 病院に行くのに絶対に渡らなければならない横断歩道。

青になった瞬間から歩き始めても渡りきることができなくなっていた・・・・。


 こんなことで脚力の減少に気付くことになった昭太郎。

日本の医師に言われた「約1年後に自立生活が困難になります。・・・・歩行不能になったとき、社会復帰前提の移植手術は受けることができません」という言葉が蘇る。


「約1年って、約ってどのくらいなんだよ・・・あれから9ヶ月ぐらい経つのか・・・・いや、まだ歩けているし、歩けている間に手術を受けるだけ。俺にできることは待つことだけだ。ガンバレ、弱気は最大の敵って広島カープの選手が言ってたじゃねぇーか・・・なんじゃそりゃ・・まぁいい、頑張れ・・俺」と無理やり自分に言い聞かせた昭太郎はいつもの散歩道を歩き始めた。