『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第98話

 翌日の早朝、川島と上松はブリスベン空港から日本へと旅立った。

 昭太郎は体調を崩し、見送りに行けなかった。

行かなかったのかもしれない・・・。


 昭太郎は手足にしびれの症状が現れていて、マグカップを落としたり、つまずいて転ぶことが多くなっていた。

 ケガはできない。
ポケベルで呼ばれたときに健康が保てていないと次の人へと順番が回ってしまうのだ。
熱を出さないこと、ケガをしないこと、痩せすぎないこと。体調を保つことは結構難しい。

 ポケベルから目が離せるようになってきた最近、昭太郎はアパートから外を眺めるようになっていた。

オーストラリアの晴れた空は子供の頃見た空を思い出させる。

空を眺めながら色々な風景を思い出していた。

逃げ出したい時に思い出すことはいい想い出ばっかりだった。

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 青空の下、開催された少年サッカー大会。

フォーメーションなんて関係なく無我夢中でボールを追いかけて、仲間からもボールを奪う。

点を取ってヒーローになることばっかり考えてはシュートを打っていた。

1点決めたときに聞こえた好きな娘の声援。

嬉しくて嬉しくてはしゃぎながら駆け回ったグラウンド。

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「アホだったなぁ、そんなことがすごく嬉しかったんだなぁ・・・俺。・・・・まてよ、今の俺も1点決めて好きな娘に声援もらいたいんじゃねぇーのか?・・・・あんまり成長してねぇーのか?アホだ・・・」呟きながら空を眺めていた。

一瞬、由紀の顔がチラついたような気がした。


 ブリスベンは毎日快晴だった。

空の青さは子供の頃見た青さと一緒だった。