オレは完璧じゃない。万能じゃない。世界の中心でなければ頂点でもない。
長年せっせと塗り固めてきた「百瀬かなで」の化けの皮が剥がれて残ったのは、出来ることが人より多いだけのただのクソガキだった。
自覚すると見えてくる。オレには課題が山積みだ。それをひとつずつ克服していくことが成長ならば、立ち向かっていくほかない。セイラと約束したのだから。


相川さんから連絡があった。

「イラストの原画展について、詰めの会議をしたいんだけど、会場限定公開する新作の案を、あらかじめ五点ほど持ってきてほしいの。できそう?」

それは、啓示のように思えた。
出来ることはたくさんあるオレが、本当にしたいこと。

オレは、絵を描きたい。

ただ綺麗なだけの絵ではなく、人の心を揺さぶるような、親父も認めるような、そんな絵を。