Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「この女は、キサマの獲物のか?
首にチマチマした傷をつけやがって。
血をいただくたぁ、こうやるんだよ!」

「莫迦……やめろ!」

 男は、養護教諭の首をかき切ると、ぼたぼた流れる血液を、そのまま口に含んで、飲み下した。

 莫迦な。

 コイツには、血液の嘔吐の作用がきかないのか?

 それに、こんなに、乱暴に飲んだら女が保たない!

 僕は、跳んだ。

 むせかえる血の匂いに、全てをさらけ出しそうになるのをこらえ、人の姿のまま。

 女は男の手で、今にも引き裂かれそうだ。

 彼女をひったくるように抱きかかえようと、腕を伸ばす。

 が。

 あっさり女を放した男の爪が、僕に向かって襲いかかって来た。