Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「なんだ。ヨく見れば、瞳に皇家の刻印があるじゃねぇか。
……はっ! そこらの雑魚とは違うってかぁ!」

「刻印……?
 僕の目に?」

 初めて聞く情報に、僕は戸惑った。

 鏡の類はなかなか僕を写さない。

 相性が悪いもの、と思って自分の顔をしみじみと眺めたことはない。

 そもそも、今まで比較するべき対象さえ無かっのだ。

「何だ? どういうことだ?
……他に……僕の他に、吸血鬼がいる、というのか?」

 僕は、一人ではなかったのか?

 これからは、無人島に置き去りにされた者のように、たった一人で暮らさなくていいのか?

「どこにいる! 仲間は、他の吸血鬼はどこにいるんだ!」

 僕の必死の声に、男は嘲笑した。