Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「オレが吸血鬼?
 ふはははは!
 キサマが言うのか!?
 笑わせるじやねぇか!」

 男は、のけぞって笑い……ぎらり、と睨んだ。

 悪意が、殺意に変わる。

「オレは、そんなチンケなモノじやねぇ! もっと……!
 はるかに進化した生きモノだ!」

 殺気が強まり、はじけた。

 男は、がおぅと吼えると、再び、爪の刃で僕をなぎはらおうとした。

 速い。

 腕自体の重さでスピードに乗った凶器は、僕を捉えて、襲って来る。

 しかし。

 遅い。

 今まで対決して来たどんな人間よりも速かったが、簡単によけられた。

 重い分だけ、攻撃に微調整がきかず、動きが大ぶりだからだ。

 僕は爪を紙一重で避けると、伸びきった腕をくぐり、男の脇と肘をつかんでベッドの上に放り投げた。