「だって……だって、本当に会いたかったのよ!
 怪我人は、そんなにたいした事ないから、大丈夫!」

 篠田は、昏い瞳を輝かせた。

 修復不可能なほど、魅了に犯され、病んでしまった者ののだと判る瞳を。

「だって、すごく心配だったの。
 怖かったの……!」

「僕は、大丈夫だって……」

「違うの!
……みんなが、先生のことを狙っているんだもん。
わたしの先生なのに、かっこいいって!」

「……それは、どうも」

「笑い事じゃないのよ!
 みんな可愛いい子ばかりなんだから……!
 明日になったら、きっと、何人かは、この保健室に来るわ!
 前にわたしが好きだった鈴木先輩の時みたいに、ぼんやりしていると、先生をとられちゃう!」

 篠田は、泣きそうな顔で、僕を見た。

「先輩みたいに、大好きな先生!
 お願い……!
 わたし以外の誰も好きにならないで……!」