……はあ。

 急に、静かになった保健室のベッドの上で、僕は、額に手をあてた。

 校長は、帰って良いと言ってくれたけれど、無理そうだ。

 篠田には大丈夫と言ったが、このまま昼前の強い光の中、うろうろしていたら、きっと灰になる。

 そして、今になって思いだした。

 朝礼台の下から助けだしてくれた松嶋に、礼を言うのを忘れていた事を。

「本当に……大丈夫ですか?」

 僕の、長々としたため息を聞きつけて、保健室の奥から一人の女性が出てきた。

 養護教諭。

 保健室の先生、っていう奴だ。

「やっと、静かになったな、と思って」

「松嶋先生は、今年の四月に入って来たばかりなので、何事も一生懸命なんですよ」

「ふうん」