導かれるままに、一段高い朝礼台に登って、集まっている生徒達を見渡した。

 中等科と高等科の生徒達が、全員僕に注目する。

『………』

 挨拶をしようとして、手渡されたマイクが、使いものにならない事に気がついた。

 機械が、僕の声を拾わない。

 使われる事を拒否しているんだ。

 直射日光にやられて、完全な「人間」でいられなくなっているようだった。

 ……面倒な。

 この広さだったら、地声でいけるか。

 僕はマイクを、ぽい、と捨てると挨拶を始めた。

「はじめまして。僕は、鈴木と言います……」

 どうやら、列の後ろまで声は届いているようだ。

 大して力まなくても、滑らかに通る声に、生徒達が驚いているのが、少し楽しい。

 目を丸くしている顔の中に高等科の隅に、昨日あった少女の篠田と、その付き添いで来た大槻凜花が、いるのが見えた。

 と思った瞬間。

 それ、が来た。