Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「犯人は、見たの?」

「見なかったわ!」

 少女は、泣き叫んだ。

「ごめんなさい!
私が悪かったの。あの時、掃除当番を代わってもらわかったら! マキは……生きていたのに!」

「大丈夫。君は、悪くない」

「でも! 毎晩、眠ろうとすると、マキが出てくるの。首だけのマキが、私を恨んで……!」

「死んじゃったマキさんは、悔しかったろうね。けれど、君の事は、恨んでないよ」

「でも!」

「大丈夫」

「……本当……?」

「うん」

 僕が、請け合うと、少女は、長い長いため息をついた。

「そ……っか」

「うん」

 やっと安堵の表情を見せた少女に、僕は、そっと微笑んだ。