知っているのか。

 そう言うのを、お前たち達の言葉で、鴨がネギを背負って来る、と言うんだぞ。

 まあ、お前を喰うのは、スープに免じて、ずっと後回しにしてやるが。

 そんな突っ込みを知らずに、人間は、にこやかに笑ってなべを押しつける。

 僕が、人の食べ物を食べても毒にも薬にも、栄養にもならない。

 だけど、そのスープは、美味かった。

 僕の生きる糧である血液とは、また違った美味さがあることに気がついてしまったのだ。



 ああ。



 ……人間か……



 夕闇に、一人。

 少し、センチメンタルな気持ちになって、ため息をついた時。

 鋭い視線を感じた。