造られた吸血鬼達の住処が、どれくらい地下深くにあるのか、判らない。

 ……全てが終わる音はごく微かに、大地を響かせた。

 残月は、大槻兄妹と、地下にいた何人かの人間を地上に導くとすぐ。

 抱えていた僕をここに下ろして、どこかへ消え。

 そして、僕は。

 吸血鬼の輪だった花壇近くの木に、もたれかかるように座って聞いていた。

 人間の耳には聞こえないかも知れない、その密やかな音を。

 たった一人で。



 ……僕は、何もできなかった。

 誰も救う事ができなかった。

 造られた異形たちは、今。

 何処とも知れない地下深くで、燃えている。





「ち……く……しょ……!」

 僕は、自らの体重を預けている、木の幹を叩いて、毒づく事ぐらいしか、できない。

 人間より永く生きても。

 重いモノを持ち上げ、素早く動く事が出来ても。

 空を飛べても。

 そして『輪』を作る……二つの空間を一つに繋ぐ………ことが出来ても。

 僕は。

 ひどく、無力な存在でしかなかった。