Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「暗くて見づらいかもしれないけれど、判るかな?
 土山の化け物が、現れたり消えたりして見える所……
 人間達が、無意識に進む方向を変える場所でもある。
 凛花。
 校庭の隅にある陸上用の砂場、二つ見える?
 石で囲まれた、植え込みは、そこと、ここと……」

「うん、どれも見えるわ」

 凛花が、綺麗な眉間に皺を寄せて、地上を見た。

「屋上から見えなかったら、地上に降りよう。
 もしかしたら、校舎の中かもしれない」

 残月の意見に、僕はうなづいた。

「もう少しやったら、降りてみようか。
 駐車場のラインがにぃ、しぃ……十四台分。
 裏庭の花壇が……六つ……」

 凛花が、小さく声をあげた。

「え? 花壇は五つしか……?」

 そこか。

 昨日、校長に誘われて土いじりをした(させられた)花壇だ。

 場所だけ確保してはあるものの、まだ花壇になっていない場所もある。

 校長が、愛しそうに毎日手入れをしている……





 ……吸血鬼の生産現場の確保に、東星学園の校長が、関っている証だった。