Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

「確かに何か、嫌な匂い……いや、気配がする」

「もし、それが太陽のような……火薬の匂いだとしたら………私が仕掛けました。
……全てを灰埃に返す為に」

「それは……この学校全部を吹き飛ばす、と言う事?」

「ええ」

 そんな大変な事を、残月は、事もなげに言った。

 もし、火薬の気配を、僕が太陽の匂いと感じるならば。

 残月に出会った時から、この匂いはしていた。

「お前は最初から、そのつもりで、東星学園に赴任して来たのか?」

「ええ……『出入り口』が見つからなければ……いや見つかったとしても。
 ここら一体を破壊する予定でした。
 吸血鬼の製造工場など、野放しにできませんから」

「学校を……爆発させるの……?」

 ショックを受けて、呆然とする凛花に、残月は、頷いた。

 すっと表情を消して。

「学園の地下で、この騒ぎの元が造られている。
 吸血鬼が溢れて出てくるこの状況は、半分見えていたが、現実は予想よりも、かなり悪かった。
 全てを吹き飛ばしてしまった方が、かえって被害は少ないはずだ」