甘い、糧が。

 残月の命が。

 渇いた身体に、滲み通る。

 もっと。

 もっと。

 もっと……血を。

 欲望を押さえ切れないまま。

 欲しいだけ、飲み続け………

 青ざめた顔の残月が、片膝をついてやっと、我にかえった。

 ……しま……っ……!

 飲みすぎだ。

 慌てて、牙をはずそうとする僕を残月はそっと、制した。

「私は大丈夫だ。
 あなたは、飲めるだけ飲んでいい。
 これから、私は出掛ける。
 帰って来るつもりでは、いるが……きっと遅くなるから」

 残月は、小さく歯噛みした。

「化け物達の後始末をつけに、行かなければ……」