さや さや さや


 静かな風の音がする。

 夜風が、優しく草を揺らす音だ。

 開け放たれた大きな窓からは、初夏のさっぱりとした風と共に、月光がさんさんと射し込んで、僕を癒やした。

 銃弾で傷き、灰になりかけた左肩から足までの身体を、ゆっくりと。

 確実に。


 ………。

 僕は窓際のベッドに横たわり、どこまでも続く大草原を眺めていた。

 こんなにも、穏やかな気分になったのは、久しぶりだった。

 ここがどこだかは、判らなかった。

 それでも、いい、と思える程に。

 僕が、寝ているのはキングサイズよりも、大きなベッドだ。

 隣には、凛花が静かに寝息をたてていた。

 毛布一つ掛けないままで。

 化け物達にやられたのか、服は裂け、全裸よりも艶かしい肢体を月光の元にそのままさらしている。