Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

 必死に探す僕をあざ笑うかのように、化け物達は、前に立ちふさがった。

 傷は、月光で大体癒えたものの、体力は、もう、とっくに限界を超えていた。

 ただ、気力だけが。

 彼女を思う心だけが、僕を突き動かしていた。






 ……凛花。








 目の隅で、ボニーテイルが揺れるのを見た。


 いた!

 あそこだ!

 数匹の化け物の壁を越えた向こうに、凛花はいた。

 恐ろしい化け物に両手首を掴まれ、引きずられながらも、必死に抵抗しているのが見えた。

 生きている!

 すぐに、走って行こうとして、化け物達に阻まれた。

 地上はダメだ!

 僕は翼を広げると、素早く空に踊り出た。