Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】

 用務員室から外に出ると、校庭はとんでもない事になっていた。

 土山の化け物が。

 その住処である大地を離れて、地上を歩き……人間達のいる学校に大挙して押し寄せて来たのだ。

 その数、無数。

 校庭に一杯の化け物達は、校舎の一階の窓ガラスを次々に割ると、中の人間達を引きずり出し…





 ……食べようとしていた。



 夕闇から、夜に変わった暗い校庭で、人と化け物達が、死闘を繰り返す。

 その姿が暗い場所でも見通す目を持つ僕には、よく見えた。

 化け物は、無言だった。

 息の音が止まる時に叫ぶ、断絶魔までは。

 怒号と悲鳴と破裂音と。

 そのほか、ありとあらゆる戦いの音は、人間達の抵抗の証拠だった。




 凛花!

 凛花は!?


 二匹の化け物を投げた時、視界を塞がれた。

 また、少し動くたびに化け物に邪魔をされ、僕は、凛花を見失いかけていた。