用務員室の扉は、押しても引いても動かないようだった。

 今さっき、皆で中に入ったときには。

 松嶋が出て行った時には、普通に開閉していたはずの扉が、凛花の力ではびくともしない。

 ……松嶋か。

 松嶋だ。

 ヤツが壊して行ったんだ。

 一体、なぜ!

 用務員室は、学校の施設の隅にある。

 目の前の廊下に、あまり人通りがないとはいえ、この騒ぎだ。

 真面目に、開けてくれ、と騒げばすぐに開く。

 松嶋が僕達を監禁するつもりなら、意味がない。

 せいぜい、目の前の廊下を歩いている奴が、急に用務員室に入って来るのを、防ぐぐらいで………





 ……………








 ……「理由」に思いあたって、僕は、額に手を当てた。

 もしかしたら。

 その可能性に、頭がぐらぐらした。