「……すまない」

「ううん。それより、救急車の順番に入れてもらわないと……
 早く、病院に行かないと!」

 言って、今にも走って救急隊を呼びに行きそうな凛花を僕はとめた。

「いや。いいんだ。少し休めば動けるように……」

「ならないわよ!」

 凛花は、ぽろぽろと大粒の涙を流しながらにらんだ。

「あんなにいっぱい血が流れてて……
 朝礼で貧血を起こしているのと違うんだからね!
 血がなくなったら、本当に……本当に死んじゃうんだから!」

「待って……!」

 凛花は、ポニーテールを揺らして僕に背を向けると、扉に向かって飛びついた。

「救急車は、ダメなんだ!」

 凛花は、僕の声を完全に無視した。

 用務員室の扉をがたがと開けて、出て行こうとして……驚いた声を出す。

「……扉が壊れてて、開かないわ!」

「え?」