……莫迦な、女だった。

 本当に、莫迦な奴だった。

 僕は、女の体から牙を引き抜くと、SEXから時間が経って、苦くなってしまった血液を飲み下した。

 僕から離れて、生き抜こうと思えば、まだ少しは長生きできたはずだったのに。

 死んでしまえば、あとは腐りゆくだけの肉体が、残るだけで、他に何にもなりはしない。

 しかも……優しいだと?

 お前は僕に身体を傷つけられ、汚されて……

 家畜のように卑しめられて……喰われたのに。

 それなのに……!

 感情が、揺れる。

 動揺する。

 これをなんと表現したらいいのか、判らない。

 自分でも。

 怒り……?

 いや。

 これは。




 ………悲しみ。