……とくん、とくん、…とくん

 かすかな鼓動が、さらに小さくなってゆく。

「夜……って……言ったのね……なんて…あなたらしい……名前……」


 とくん…とくん……とくん


「綺麗で……怖くて……朝が来るまで……抜け出せないほど大きくて……」


 とくん……とくん……


「そして……優しい……私……あなたに……抱かれて……眠るのね……うれし……」

「……え…?」

 優しい?

 思いがけない言葉に、驚いたとき。


 ……とくん


 女の鼓動は、最後の一打ちをして、動かなくなった。