「――…一度、治療を休んでみないかい?」


そう言った河内先生に私は息を呑んだ。
たぶん、私だけじゃなくって涼太も同じだったと思う。



「………効果ないから?」

「君は正直だね……、確かにそれもあるけど…
治療を一度休んでリフレッシュすればまた違う結果が出る事もあるんだよ。」


効果が出ない、とはっきり言う河内先生は涼太に隠しても意味がない事をたぶんわかっているんだと思う。



「病院からは出られないけど、治療を休めば多少は心にゆとりもできるはずだよ。」

「………わかった。センセーが言うなら間違いないんじゃね?」


涼太は不満もあるんだと思う。
それでも、河内先生が言うならって不満を飲み込む。

我慢してるのがわかったのか河内先生は苦笑いしながら口を閉ざしてしまった。



「一週間、治療を休んでその後の事は一週間後に決めようか。」

「………センセー、一つ頼みたい事があるんだけど。」


苦笑いのままの河内先生から目を逸らしたままの涼太は布団を握り締めていた。


悔しいよね。


こんなに苦しい思いして頑張ってるのに、報われないなんて。






「一日で良いから外出許可欲しいんすけど…。」

「……理由を聞いても良いかな?」


外には出れないって言ったのに、それでも涼太の頼みにノーとは言わない。

それが先生だ。