「先生……」
私が聞きたいのはたった一つ。
「――…涼太は……あとどれくらい一緒にいられますか?」
涼太と一緒に居られる時間。
それが知りたい。
ママも先生も私をみてびっくりしていた。
当たり前かもしれない。
普通なら泣いて喚いて縋り付くのかもしれない。
――…でもね、私はそんな事したくないんだよ。
「どれくらいですか?」
「………長くて…三ヶ月、ただ癌だって気持ち次第で延命はできるんだよ。」
「はい。一ヶ月を半年にだってできますよね。」
これから、辛いのは私でもママでも先生でもない。
誰でもない、涼太なんだ。
涼太が辛くても、どんなに苦しくても頑張れるように私たちは見守るしかない。
だから……、私たちは覚悟しなきゃいけないのかもしれない。
どっちに転ぶかわからない未来…どっちに転んでも後悔しないように。
「ママ…私も頑張る。涼太と一緒に頑張るから。」
「シズ…っ、ありがとう…ありがとうっ」
ギュッて抱きしめてくれたママの肩が震えてた。
「河原先生…涼太を……息子を一日でも長く…お願いします。」
「…わかりました。全力でお手伝いさせていただきます。」
ママと河原先生はお互いに頭を下げている。
そうだよ…せめて一日でも長く。
一つでも多くの幸せを…。

