「申し訳ございません。不具合が見つかりました。引渡しの最中に1088に異常が発生していたようです。
何か不審な点はございませんでしたか?」

「何ですって?」


父と母は同時に言った。


怒鳴るでも、落胆するでもなく、落ち着いた感じで。


「契約金の方は、返還致しますので」

「待って、ヨルはどうなるの?」

「メモリの全消去後、プログラムし直すのが普通ですが、アレは古い型なので廃棄されます」




メモリの全消去…廃棄…?




その言葉が、頭の中を駆け巡って、周りの音を遠ざけていく。