「あぁぁぁぁ…何でだ?何でなんだ…」

明徳は、ブツブツと同じ言葉を繰り返し、繰り返し呟いている。

相当、ショックだったのだろうか?
「だから…さっきから、言ってるでしょ?…葵が泣いてたから、慰めていただけで……」

明徳が、私の言葉を遮るように言った。
「じゃあ、俺が泣いてたら…咲良は抱きしめてくれるのか!?」

「それは…」
モゴモゴと口ごもる私を見て、「ほら見ろ…やっぱりな」と、言い張ったのだ。

私は、言い返したかったけど何も言えなかった…。

ー葵が好きって訳じゃないんだけどー

「えっと…明徳さんと沙羅さん?」
葵は沙羅と、仲良く会話をしていた。
まずは、名前を覚えようと必死だ。

「明徳でいい…さん付けするな。身体中が痒くなる…そう言うの苦手なんだよ」

芋虫を噛み潰したような、苦い表情で明徳は、沙羅と葵の会話の間に入る。

「私も、沙羅でいいわよ。どうせ学年は同じなんだし…」

何だかんだ言って、沙羅と明徳と仲良くなった葵を見て、私は少しだけホッとしたのだった。