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「日和?」



悠希から離れて日和に駆け寄ったら日和は少し赤い目で私を見てから、勢い良く飛びついてきた。



「千鶴ー……」


「ん?」



もしかして…

先輩にひどいこと言われたのかな…?
だから目が赤いのかも…。

日和の背中をポンポン叩きながらそう考えてしまった。



「日和?何も男は先輩だけじゃないんだからね…?」



そうだよ…
男なんてこの世界に五万といるんだし、落ち込む必要なんてないはずだ。うん。



「千鶴…何言ってるの?」


「え?フラれたんじゃ…」


「違うって!昨日ね、………付き合う事になって…。」



付き合う?
フラれたんじゃなくて付き合う?

じゃあなんで泣いてたんだろ…。


悶々と考えながら、私の頭の中に一つの答えが弾き出された。



「もしかして…嬉し泣き?」



小さく頷いて真っ赤になる日和は可愛かった。
恋する女の子って無条件に可愛くなれるのかもしれない。

嬉し泣きするくらい嬉しい恋ってすごいな…。


私も…悠希とそうなれたら良いのに。



「よかったね、日和!」


「ありがとう千鶴!今度は千鶴の番だね?」


「わ、私は……私は良いよ。今で満足してるもん。」



嘘…。
満足なんかするはずないよ。

だって、こんなに好きなんだもん。

寝ても覚めても悠希の事しか考えられないんだから。



「満足なんかしてないんじゃない?……千鶴、女は度胸!当たって砕けろ、よ!」



いや、砕けちゃ駄目でしょ。

砕けたら私立ち直れない。

今までみたいに一緒にもいられないんでしょ?



―――…それなら今のままのほうが良いよ…。