「ただいま」


家に帰るともう母は眠っていたのかリビングに姿はなく
テレビの光だけの中でひとり父がお酒を飲んでいた。


「おかえり」


「うん」


そのまま部屋に向かいお風呂に入るため浴衣の帯を外す。


そういえば父は
自分から申告しないと誕生日におめでとうと言ってくれなかった。


弟が気を利かせて「今日姉ちゃんの誕生日だよ」と言ってくれていた時だけは、あたかも覚えていたかのように言ってくれたけど。


もちろんこの日も言ってくれなかったけど、別にそんな当たり前になってしまった事には気にもとめなかった。



お風呂からあがってお茶を飲みに行ったリビングに父の姿はなく、眠っていたはずの母が小さな明かりだけをつけてお酒を飲んでいた。


気まずい雰囲気に耐え切れず、お茶をついで部屋に行こうとすると



「ここで飲めばいいでしょ?」



母は私に見向きもせずグラスに入ったお酒を飲みほして言った。