まるで、工場のラインで製造途中のような、ドアの無い奥さんの車を無表情で見つめるKさん。


「・・・・・・・」


「いきなり大きな音がして、びっくりしたわ!」


びっくりしたのはこっちの方だと言わんばかりの表情で、Kさんは無残に下に転がっている車のドアを両手で持ち上げました。


「これ、俺が乗って行くからお前、俺の車に乗って行け!」



バンパーが落ちた車もかなり目立つものですが、ドアの無い車はそれ以上に目立ちます。


そんな車を運転し、すれ違う車のドライバーの痛い視線を集中的に浴びながら、Kさんはぶつぶつと文句を呟くのでした。



「……ったく、アイツには運転させられねぇよ……」