その手を離さないでいてくれた。

いつも隣にいてくれた。

生まれる前から一緒だった。

誰よりも近い存在だった。

たくさんの時間を共に過ごした。


「由輝ちゃん…由輝ちゃん……由輝ちゃん……ゆきちゃ…ッッ」

涙が溢れると同じに、たくさんの思い出が溢れてくる。

二人で過ごす時間が好きだった

みんなで過ごす時間も好きだった

私の名前を呼ぶ声が好きだった

頭を撫でてくれる手が好きだった

温かいあなたの隣が好きだった

さりげない優しさが好きだった

頼りになるその背中が好きだった

何よりも…………

笑った顔が大好きだった。


「ワァァアアァア―――…ッッ」

――――酷いこと言ってゴメン。

――――だいすきだよ。

―――ずっと見守っているから、…………泣かないで。

「っ…う……ッック……」

今までケンカしても一回も謝らなかったくせに……。

いつも謝るのは私だったのに…。

最後の最後に“だいすき”なんて………そんなのズルイ、よ。

そっと冷たくなった頬に触れる。