そんな話しをしているうちに、あっという間にロフトについてしまった。


レンは当日券を買い、俺は前売りを持っていたからチケットを渡してドリンク代を払い、ドリンクチケットをもらう。



とりあえず、二人でバーの方に行って、お互いコーラかなんかと取替えてもらって乾杯をした。


最近厳しいから、誰か大人の相方でもいないかぎり、酒は買えないんだよな・・・

レンと一緒だと、いかにも高校生同士できましたって感じで、バレバレじゃん!




「エイジ君、ちょっと物販見てきていい?」

初めてきた場所で、きょろきょろしながらレンが俺に声をかける。


「ちゅーかレンさ、君付けもやめてくんないw」

わかったーと言って、奴は小走りにバーの横にある物販コーナーを散策にいった。








「エイジじゃん?今日はテツさんきてんの??」



やっとレンに開放されたと思ったら、いつものライブ仲間に声をかけられた。

仲間といっても、俺より大分年上・・・もう30も近いパンクスの兄さん。


「しらねーよ、あんなクソおやじ・・・
丁度良かった、ビールおごってくんない?w」


いつも年上の人にタカって、酒を買ってもらうので、今日も図々しくおねだりすると、快く兄さんは買ってきてくれる。



あ、ちなみに”テツさん”ってのは、俺の父親。

ちょっとした伝説のハードコアバンドをやってる、ボーカル。

俺はそのせいもあって、こういうところには小さい頃からよくきていたし、たまにこういうライブで鉢合わせすることもある。



でも、あんまり父親だなんて思ったことは無い。
一緒に住んでないから。

だから俺は、今親父がどこで何をしてるかなんて、知ったこっちゃない。


別に、親が離婚してるとか仲が悪いとか、そんなんではなくて、ただ単ににうちの親が週末婚状態なだけ。