新学期始まってすぐの練習は、いつもより少し早く終わって、今日はまだ明るいうちに帰る事が出来た。

いつものごとく、図書館によってカオリさんの仕事が終わるのを待ってから一緒に帰る。


「ねえ蓮、もうすぐ誕生日だよね確か。」

そういえばそうだなって、今まですっかり忘れていたことに気付いた。

「何か欲しいものある?とはいっても、あんま高いものはあれだけど・・・」


「別に何でもいいけど、カオリさんがくれるものなら何でも嬉しいよ。」

そんな風に答えてしまうと、「それ一番困るヤツじゃん!」なんて笑いながらちょっと怒っていた。



毎年そういえば、誕生日なんてうちで家族とお祝いするぐらいしかしてこなかったな。
去年はビトも遊びにきてくれたんだっけ?

モモに何か買ってあげてプレゼントしてた気がするけど、よく覚えてないや。

今年はお互い、彼かのが居るんだもんな。きっとモモもエイジと過ごすんだろう。


「そうだなあ・・・ずっと一晩中カオリさんと居れれば、何もいらないや・・・」


ぼんやりそんな風に答えると、
「それ毎週やってるじゃん・・・」

照れながら返されるから、そういえばそうでしたってお互い笑みがこぼれていた。





僕達はこんな風に、このまま余計なことを考えず、ずっと仲良く一緒にいられるのかな?



高校生のときの初恋なんか、きっと別れるに決まってるって思われそうだけど、今の僕はずっときっとこのままで居たいと強く思うんだ。





それは決して、たやすいことではないとしても・・・